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新ブランド have faith ディレクター兼デザイナーの髙木さんと対談【前編】

新ブランド have faith ディレクター兼デザイナーの髙木さんと対談【前編】

日程 : 2023.05.12 - 05.28 場所 : TOKYO

have faith 髙木亮輔
眼鏡ブランド have faith ディレクター兼デザイナー。
キクチ眼鏡専門学校卒。在学中の1998年に名古屋の眼鏡店モンキーフリップにて勤務。卒業後の2002年、国内を代表する眼鏡ブランドであるフォーナインズに入社。その後、2013年からトニーセイムジャパンに在籍し、日本メガネ大賞を三度受賞(2020・2022・2023)。2022年6月に独立し、たかぎ商会を設立。現在はオリジナルブランド have faith を運営する傍ら、フリーランスデザイナーとしても活動し、トニーセイムジャパンの眼鏡デザインも継続して担当している。

折角堂 高橋賢吏
折角堂 代表。
2005年に眼鏡大手セレクトショップに入社。複数の店舗の立ち上げや店長を経験し、2015年に折角堂をオープン。様々な分野の職人やショップとコラボイベントの開催や、オリジナル眼鏡ブランド「七六」の企画・運営を担当している。

About have faith
2023年5月、新たにスタートした眼鏡ブランド。眼鏡店とフレームメーカーの現場で培った技術やアイデアを元に、独自の解釈を取り込んだモデルを展開。世間の潮流に左右されない価値観を持つ人たちに掛けてもらえるような、高品質なものづくりを目指している。

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髙木:大変お世話になっております。今回は、折角堂で展開をスタートしていただきました新ブランド have faith についてお話しさせていただきます。
過去の経験上「掛け心地が良い」とか「機能性が高い」というイメージがあると、ファッションアイテムとして眼鏡を探している方からは興味を持たれなくなってしまうのだと思うことがありました。「掛け心地がいい」と伝えるとそもそも手を伸ばさなくなってしまうというか。
そういった方に手を伸ばして掛けていただいても違和感のないプロダクトを目指す。 have faith はそういった、ファッションを含めた普段の生活にスッと溶け込むようなイメージの眼鏡です。

高橋:そうですね。その詳細はぜひ今回のブログで詳しくお話いただければと思います。改めて自己紹介しますか?このブログを読んでくれる方々にも高木さんのことを知ってもらえれば、と思いまして。

髙木:ありがとうございます。みなさまからすると、あなた誰?となりますよね。
プロフィール欄にも書かせていただきましたが、have faith のデザイン、ブランド運営を行なっている高木と申します。
眼鏡に携わったキャリアとしては、10代の頃に眼鏡学校へ入学したことと、在学中に眼鏡店でアルバイトを始めたのがスタートです。アルバイトはキャリアに入れないでしょ?という意見もあるかと思いますが、とても良い経験で、デザイナーとしての活動にもかなり活かされているのでキャリアに入れさせていただきます。モンキーフリップは、オリジナルをメインにしながらも面白いセレクトが特徴のお店だったので、若い時からそういった様々な眼鏡を触れて長い時間を過ごせたことはとても貴重な経験でした。

高橋:そもそもなぜ眼鏡学校に入ったのですか?

髙木:最初は東京のアパレルの専門学校へ入学予定だったのですが、なぜかアパレルデザイナーとしてやっていくことが想像できなくなってしまいまして。入学辞退して進路を考え直しました。それで、家から近かったし、眼鏡掛けているし、自分で掛けるかっこいい眼鏡つくりたいな、と考えたのが眼鏡学校へ入学した理由です。眼鏡学校の事を調べていたら当時ファッション雑誌の眼鏡・サングラス特集に載り始めていたフォーナインズの社長兼デザイナーもその眼鏡学校の卒業生だっていうことがわかりまして。じゃあ眼鏡のデザイナーになる為に行こう、と。

高橋:就職したフレームメーカーでは間接的に僕ともお付き合いがありましたよね?

高木:そうですね。そもそも眼鏡デザインを勉強するために眼鏡学校へ入学したんですが、実は眼鏡学校ではデザインそのものの授業はないんです。デザインをするための、眼鏡全般の基礎的な知識を勉強したようなイメージですね。なので、現場で眼鏡販売をするための知識や技術も持っていました。
そういった経緯から、当初働いていたメーカーでは現場の販売員からスタートしたのち、眼鏡のレンズ加工を集中的に行うセクションへ配属となりまして。そこで高橋さんが勤務する眼鏡店のレンズ加工を請け負っていました。多い日は一日で100件レンズ加工を行うようなセクションを2~3人で運営していたので結構大変でしたね。

高橋:トニーセイムでは折角堂開店の際から担当営業として本格的にお付き合いが始まりましたよね。開店初日から販売応援に入ってもらったりして。

髙木:懐かしいです。当時は営業として全国の眼鏡店を訪問していました。いろいろな眼鏡店を自分の目で見られたので、どういうものづくりをすれば喜んでもらえるのか?と考える際に、よりリアルに想像できるようになったと思います。加工や現場経験、様々な眼鏡店を訪問させていただいたことが、今眼鏡をデザインする際の糧となっていると強く感じます。

高橋:眼鏡のデザイナーとして特に気に掛けていることは何かありますか?

髙木:レンズシェイプは自分のデザインにおける特徴のひとつだと考えています。一見普通っぽく見えるテイストでも、レンズシェイプは結構独自のライン取りをしています。サイズバランスも含め、そこはかなり吟味しているポイントです。

高橋:have faithの眼鏡を掛けるターゲット的なことも意識していますか?

髙木:商品を企画する上でいわゆる年代や性別はほとんど意識していないです。完全にジェンダーレスです。
ただサイズ感は実際に眼鏡を使用する上でとても重要なので、トレンドを考慮しながらも適切なサイジングはどこなんだろう?とかなり悩みながらデザインしています。お顔のサイズは千差万別ですし、眼鏡を似合わせるために重要な目と目の間の距離も人それぞれです。女性ですごく小顔だけど目と目の間の距離は平均値という人や、私自身のように男性で顔幅は広めだけど目と目の間の距離は平均値より狭いケースもあります。そういったことを考慮しながら、たまに一時間以上電卓で計算しながら悩んでいる時もあるぐらいです。
以前アパレルの友人と話したことがあるのですが「サイズ感はブランドの個性やデザイナーの考えが強く出る」という話に強く共感しました。

高橋:have faithでもそれは変わらず、ですか?

髙木:はい。そこは今までの考え方の延長線上にあるイメージでジェンダーレスに考えています。

高橋:have faith は2型でスタートしましたが、特に意識したことは何かありましたか?

髙木:軽さ、です。軽いけどプラスチックフロントならではの、外観を楽しんでもらえるデザインを目指しました。その為に生産工場の担当者といろいろすり合わせをして、眼鏡として必要な剛性をキープしながら極限まで薄いフロントデザインに仕上げています。工場としても「こんなに薄いのは過去にやったことがない」という数値だったので、結果的に「もう0.2ミリ足してくれれば、なんとか出来そうです」というところで着地しました。本当にいろいろと無理を聞いてもらいながら生産してもらえた感じです。ただ軽いだけですとフィット感に不安の残る、頼りない掛け心地になってしまいます。薄い見た目で剛性もキープできるチタン製テンプルと適度にボリューム感を持たせたエンドチップで、眼鏡として適切な重量バランスを心掛けました。

高橋:実際に掛けてみるとそれはすごく感じます。ただ軽いだけではなく、なんて言えばいいんですかね。こういう掛け心地ってヨーロッパのブランドだとあまりないですよね。この、軽くて柔らかいけど安定している感じは独特ですよね。

髙木:そうですね。軽い眼鏡は世界共通で必要とされていますし、すでに存在していると思います。柔軟性の高い眼鏡も同様です。でもそこに安定感が加わればもっとプロダクトとして良質なものになるのでは?ということを have faith では具体的に表現しました。

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